カードゲーム「超人ロック」は、カードやダイスの偶然によって状況が二転三転し、予断を許さないスリルに満ちたものである一方、各プレイヤーの戦略、プレイヤー間の駆け引きや連携が大きな要素を占める知的なロールプレイングゲームであり、年季が入ってくるに従ってより味のあるプレイができるようになります。熱血と勢いで力押しするもよし、老練さと知謀で出し抜くもよし、それぞれの個性にあったプレイで存分に楽しむことができます。
あるところに、悪事を企んで基地などつくってる連中がおったとさ。そこで、正義の味方のつおーい超能力者「ロック」は、仲間を集めて悪者どもをやっつけちまう事にしたんだとさ。でもね・・・とまあ、設定は単純明快です。しかし、実際の物語はそう簡単には進みません。集まってきた仲間の中には悪者が混じっているかもしれませんし、悪者のふりをして敵陣深く潜入した正義の味方もいるかもしれません。はたまた、勝手気ままな第三者の介入により、善と悪の戦いどころのさわぎでなくなる場合もあります。ひょっとすると、原作者の「聖悠紀」その人が編集部の追跡を振り切ってお忍びで遊びにきているかもしれません。
登場するキャラクターの「属性」 には大きく分けて次の3つの種類があります。
Good | 主人公のロックを中心に悪巧みを阻止しようとする者達 |
Evil | 秘密基地を作り、何やら悪事を企む者達 |
Special | ただひたすら自分の目的だけを果たそうとする者達 |
全てのキャラクターは上記 Good、Evil、Special のどれか1つに属しています。一部、Evil から Good に「改心」する可能性があるE/G属性のキャラクターもあります。
各プレイヤーは、自分の勝利条件を満たすことを目ざして行動します。例えば Good 属性のプレイヤーは、悪者たちの重要拠点を全て破壊するか、Evil 属性のプレイヤーを全員こらしめるかすれば勝利できます。逆に Evil 属性のプレイヤーは、Good 属性のプレイヤーを全員やっつければ勝利です。キャラクターによっては、勝利するためにいろいろな条件を満たさなくてはならない場合があります。キャラクターの能力が高いから楽勝、というわけでもないのです。
なお、以後「シルエット」の属性を指す場合は "Good"のように斜体表記することにします。
1.2 ゲームの流れ
ゲームは前半と後半の部分に分かれています。前半の「惑星編」 では正義の味方が悪の秘密基地のありかを発見すべく調査に乗り出すという設定です。 Good または Special の姿をした人は6つの惑星を調査し、秘密基地に関する情報を集めます。後半の「秘密基地編」では、発見された秘密基地に正義の味方が突入し重要拠点を破壊しようとします。拠点を破壊しようとする Good とそれを防ごうとする Evil、それに Specil が絡んでの大決戦となります。
1.2.1 ロックで使用するカード
ロックで使うカードには以下のような種類があります。これらのカードがどのように配られるか、どのように使われるかによって、ゲームが大きく変化します。
キャラクターカード(27枚) | 自分の正体が書かれています。 |
シルエットカード (60枚) | 世を忍ぶ仮の姿です。 |
惑星カード(81枚) | ゲーム前半「惑星編」で盤上に置かれます。 |
秘密基地カード(60枚) | ゲーム後半「秘密基地編」で盤上に置かれます。 |
コンバットカード(86枚) | 戦闘時の行動手段を提供します。 |
次に各プレイヤーのキャラクターとシルエットを決めます。キャラクターは各属性から何人かをランダムに選抜したのち、参加者に1枚づつ与えられます。シルエットについては、各自他人に見えないようにダイスを1個を振り、出た目によって "1"は本人、"6"は Evil シルエット、それ以外は自由に自分の意思で選びます。ゲームに慣れないうちは Good や Special のシルエットを選ぶほうが無難かもしれません。(Evil シルエットを上手に演じるには、ゲームに対するある程度の知識と理解が必要です。まあ、たいしたことではありませんが。)
全員のシルエットが決まったところで、Evil のシルエットをした人(「基地プレイヤー」と呼びます)はどこでも好きな2ヶ所に特殊な惑星カードである「待ち伏せカード」を仕掛けます(既にある惑星カードと差し替えます)。この間、Good や Special の姿をした人は待ち伏せ場所がどこなのか見ないように後ろを向いています。
自分の番が回ってきた人は、横方向に1マス隣に動く(歩く)か、ESPレベルを利用して惑星内を「レベルテレポート」するか、あるいは宇宙港から宇宙港へと旅するかして、この世界をすみずみまで調査して回ります。調査にはトラブルがつきもので、場合によっては警官やエスパーなどと戦う羽目になる事もあります。戦闘が起きたとき、他のプレイヤーが「実はそこにいた」りする場合もあります。そこにいた人は、共に敵と戦ってくれる心やさしい人かもしれませんし、さっさとその場を逃げ出して惑星の調査に向かう非情なエージェントかもしれません。はたまた、「改心せい」などと訳のわからないことを叫びながら、サイコロを振ったりする変態かもしれませんし、「ジオイド弾」なる最強の攻撃兵器をぶっ放し、バビューンと亜空間に去って行くマッドサイエンティストかもしれません。世の中変な人が多いので、自分の健康には十分気をつける必要があります。
惑星編における楽しみの1つは「能力カード」を集めることにあります。「能力カード」というのは特別な種類の惑星カードのことで、プレイヤーにさまざまな追加能力をもたらしてくれます。危険を覚悟で必死に惑星を調査する勇敢なプレイヤーに神が与えた贈り物と言ったところでしょうか。能力カードによっては、忠実かつ無限のパワーを持つ優秀な「手下」がついたり、かっこいいお船が援護射撃を(あるいは誤爆を)してくれるようになったり、エスパーでないのにエスパーの力が使えたり、とってもEスーツが着れたり、見事な鏡が手に入ったりと、いいことがたくさんあります。ですから宇宙港に降り立った人はみな、この惑星が実り豊かな星でありますようにと願うわけです。しかし現実はなかなか厳しくて、ついていないときなどは、待ち伏せに合い、逮捕され、トラップにかかり、しまいには正体がばれてしまったりと踏んだり蹴ったりの場合もあります。日頃の行いが試される場でもあります。
能力カード集めに狂奔するあまり、本来の目的である「悪人の秘密基地さがし」がおろそかになる場合が多々あります。ひどい人になると、せっかく秘密基地に関する「情報入手」をしても、喜ぶどころか、渋い顔をしたりします。確かにあまり張り切りすぎて、たくさんの「情報入手」をすると、周囲の顰蹙を買うかもしれません。というのも、情報入手カードを誰かが1人で3枚集めると、その瞬間に秘密基地のありかが判明し惑星編が終了するからです。広大な未開の大地を目前にしながら「秘密基地」への集結を命じられたりすると、結構悔しい気持ちがします。
まず始めに、盤上の全てのマスに1枚ずつ、秘密基地カードをランダムに選んで伏せて置きます。次に基地プレイヤーは4枚の特殊な秘密基地カード 「重要拠点カード」を任意のマスの秘密基地カードと差し替えます。カードを配置する間、 Good および Special の姿をした人は仕掛けられた場所を見ないように後ろを向いています。重要拠点の配置が終わると裏面の開始です。
裏面においては、いよいよGoodの勝利条件である、重要拠点の発見と「破壊」が可能になります。しかし、ここはなんと言っても Evil の秘密基地です。地の利は圧倒的に Evil にあります。秘密基地の1マス1マスが、行く手を阻む障害として働きます。例えば、警戒装置、幻覚の部屋、重積ボーティクス、カーンの聖母による甘い誘惑のワナなど、盛りだくさんです。Good はこれらの障害を乗り越えて秘密基地を発見し、破壊しなくてはなりません。
基地プレイヤーに対しては秘密基地カードは開きませんので、基地プレイヤーは比較的安全かつ自由に基地内を動き回ることができます。また、基地プレイヤーは重要拠点のある場所を全て知っていますから、あらかじめその上に陣取ってがっちり守りを固めておくこともできます。あるいは全く違う場所に陣取り、さも重要拠点を守っているように見せかけ、飛び込んできたGoodをたこ殴りにする手もあります。ただし、秘密基地カードにおけるワナの多くは、いったん開いてしまうとシルエットに関係なくその場にいるプレイヤーに襲いかかってくるので注意が必要です。
もしプレイヤーの正体が Good であるならば、開いている重要拠点カードの上に止まっている場合、次の自分のターンで「破壊」と宣言すればその重要拠点を破壊することができます。重要拠点が4箇所とも破壊できれば Good が勝利し、Evil は敗北となります。ですから、Evil キャラクターは Good キャラクターによる重要拠点の破壊を阻止するために全力を挙げねばなりません。うまく Good キャラクターを全滅させることができれば Evil の勝利です。
一方、Special キャラクターの勝利条件は、重要拠点の存在や Good 対 Evil の争いとは直接関係があるわけではありません。しかし実際は、Good または Evil の振りをしたり、どちらかに加担したりして、他のプレイヤーの力を利用する方が効率的に勝利条件を満たすことができることが多いようです。善悪どちらに協力するか、その状況判断の良し悪しが勝利への道のりを大きく変えることは言うまでもありません。
こうして裏面では、各プレイヤーの利害が激しくぶつかり合い、戦闘はますますヒートアップしてゆきます。徐々に、あるいは突然明らかになる互いの正体。知略をつくした虚虚実実の駆け引き、狐と狸の化かし合い、そして、最終戦闘へ。物語はクライマックスを迎えます。
このチェックの結果によっては、ゲームの趨勢が一転する場合もあります。やっとの思いでようやく倒したロックが「実は生きていた」りすると Evil にとっては大打撃ですし、逆に皇帝陛下が生き返ったりすると Evil 陣営はお祭り騒ぎになります。はたまたエルミとかが生き返ってきて、Good と Evil の戦いどころではなくなったりもします。
また、このチェックが存在するおかげで、「他人を騙すためには死んでもいい」という全くタチの悪いプレイをする人が出てきます。「生き返れないリスクを考えても騙す(=正体を隠す)価値あり」と考えてのことでしょうが、そういう人がいると誰が誰なのかいつまでたっても特定できず、困る場合もあります。そんな時は「接触テレパス」を使って怪しい人の正体を見てやりましょう。ただし、「知り過ぎた者は消される」という法則もありますので、慎重に。
というわけで、ここまで読んだらあとは実際にやってみましょう。健闘を祈ります。